2022年3月2日水曜日

2022/03/02(水) マシュマロ・テスト

  「マシュマロ・テスト」、ご存じですか?満足を先延ばしする能力のテストのことです。子どもたちは、より多くのマシュマロをもらうために、目の前にあるマシュマロを食べることを15分間我慢するように言われます。実験では、半数の子どもたちが、15分間我慢できました。でも、半数の子どもたちは、15分間我慢することができず、目の前のマシュマロを食べてしまいました。1972年にアメリカでこの実験が行われた時に、子どもたちの平均年齢は4歳半でした。

 16年後の1988年に、実験に参加した平均年齢20歳半の元子どもたちの親(子どもたち自身ではなく)を調査すると、我慢できた子どもたちの親の学力と財力は、我慢できなかった子どもたちの親のそれより高いという結果になったのです。客観的に見るために、1990年にも再調査が行われました。しかし、結果は前回と同様でした。さらに、21年後の2011年、実験に参加した子どもたちが中年のおじさん、おばさんになった時点で、脳の検査をしました。我慢できた元子どもたちの脳では、我慢できなかった元子どもたちの脳より、計画や社会行動の調節に関係する前頭前皮質が活発に働く事がわかりました。反対に、我慢できなかった元子どもたちは、我慢できた元子どもたちより、快感や満足度などに関係する部位である腹側線条体の活動が活発でした。そして、前者は後者よりも、明らかに豊かな暮らしをしていることが分かりました。

 この結果は、教育者と親の間で、大いに話題になりました。より大きな収穫を得るために、ご褒美や満足を先に延ばせることと、頭の良さや経済力の高さとの相関関係が、明らかになったのです。しかも、そこには、脳の働きまで影響しているのです。

 今は見えないけれど、つかんだ時のより大きな喜びを想像して、自分をコントロールできる力が、将来的な賢さや経済力を得るための秘訣だったのです。お金持ちになりたければ、「知恵を使って、今は見えない大きなものを狙え」ということなのですよ。

 保育園でも、少ないおもちゃを懸命に取り合う時期をたっぷりと過ごす中で、少しずつ「順番の概念」を理解するようになり、本当はすぐにでも遊びたいけれど、順番が来るまでじっと我慢している...。そんな、けなげなお子さまの姿を見ていると、「君は、将来、大金持ちだ!」と心の中で叫んでしまいます。コロナウイルスへの感染の拡大は、世界中のどの国でも、いまだ終息の兆しが見えていません。つくづく、「地球はひとつなんだよ~」と言いたくなります。今は見えないけれど、いつか見えることを信じつつ...。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。