2020年5月13日水曜日

2020/05/13(水) 絵本のおすすめ

 皆さま、お子さんの体の成長は目で見ることができますね。では、心の成長はどうやって確かめるのでしょうか?心の成長を目でみることはできません。でも、親と子の「心のキャッチボール」ができていると実感したとき、わが子の心の成長を感じることでしょう。


 親と子の「心のキャッチボール」をしたいと考えたとき、一番有用な手段は、私は「絵本」だと思います。絵本は子どもたちの心の糧ともいわれています。幼い子どもたちは、絵本を読んでもらうのが大好きです。子どもたちと一緒に絵本を楽しむことは、子どもの心に寄り添うことに他なりません。

 絵本の有効性について、東京大学大学院の秋田喜代美先生のお書きになったものを参考に、次に記してみますね。

1. 読み語りを通して、赤ちゃんは読み手の目をじっと見たり、大声を出して笑ったり、指差しをしたりして、読み手との交流を図ろうとしてきます。

2. 好きな絵本ができると、子どもはその世界に入り込み、登場人物になりきろうとします。

3. 声の響きから、「楽しい」、「悲しい」といった気持ちを汲み取れるようになります。

4. じっと見つめることで、観察力の土台につながります。

5. 同じ絵本を繰り返し読むことで、「次はこうなるはず」といった先を見通す力がつきます。

6. 絵本の主人公の複雑な心境などを理解し、「自分だったらどうしよう?」と考えるようになります。この経験の繰り返しで、問題が起きたとき、すぐにキレたり、へこんだりしない力が育ちます。


 どうですか?絵本っていいでしょう。

 ところで、絵本を購入するとき、自分(親)の好みで選択していませんか?大人が好きな本と子どもが好きな本の間には、どうも大きな溝があるようなのです。「心のキャッチボール」をするためには、子どもが興味を示す絵本を選ぶことも大切だと思います。その点、福音館の月刊絵本は、専門家が研究に研究を重ねて作りこんだ絵本です。大人にとっては、「えっ、こんなの」と思ってしまう絵本が届くこともあります。でも、意外に子どもはとびつくものです。私も、何でこれがおもしろいのかなあ?と思ってしまいますが、子どもが食いつくのなら、それはそれで価値のある絵本だと思います。親が絶対選ばない本が購入できる、これは月刊絵本のメリットともいえます。もちろん、大人も子どもも大好きな本もたくさんありますからご安心ください。


参考資料(保育の中でお子さんと一緒に絵本を読んで)
さくらそう保育園元郷 園長 三浦邦子

めん たべよう!」小西英子作 福音館

 この本は、うどん、そば、ラーメン、スパゲッティなど、たくさんの麺類がページいっぱいに描かれています。まるで写真のようにリアルで、湯気もでていますが、実は作家が何年もかけて描いたものなのです。すごいなあと感動してしまいます。

 きつね、たぬき、つきみ、なべやき等、何度見てもページをめくるたびにお子さんは「わあ~」と歓声。「おいしそう」と言っているうちに本当によだれが出てくるお子さんもいます。「ねえ、こんどは、何食べようか?」と、いいながら、もう一回とせがんできます。

 しかし、この本の良いいところは、お子さんの「もう一回」を上手にお断りすることもできるのです。それはおしまいのところで、「おなか、いっぱいになったでしょう。ごちそうさまする?」などと言ってみるのです。そうするとお子さんは「うん、ごちそうさまでした。」と反応し、「お-しーまい」になるのです。作戦勝ち(笑)

かじだ、しゅつどう」山本忠敬作 福音館

 この本は、消防署のブザーが鳴り、消防自動車が出動し、消火し、消防署に戻って洗車するまでが描かれています。お子さんはとても楽しいようで、「もう一回」を繰り返します。私も楽しくなり、何度も読んでいました・・・ふと、お子さんがいなくなりました。すると、「いっしょ!」と言って、おもちゃのはしご車を持ってきました。絵本の横に並べ、見比べながら「いっしょ、いっしょ」と大喜び。そのお子さん、次の時は、このはしご車を持ちながら、かじだ、しゅつどうの本を読んでと、持ってきました。洗車のページになったら、持っているはしご車を、ていねいに洗車するかのようになで始めたのでした。

 以上、2冊の絵本を見ているお子さんの様子でした。お子さん達はそれぞれ、「よだれが出た時」、「車をなでていた時」、そのしぐさと表情は、本当に心が動いているようでした。そして、このような場面に出会えた時は、私の心も喜びで動き出すのでした。この心の動きを生んだのは、紛れもなく絵本です。絵本の力は大きいと思います。

2020/05/13(水) 最近の朝日新聞から

 コロナがらみではありますが、興味深い記事がありましたので、ご紹介したいと思います。

(1) 先ずは、朝日新聞2020/4/27夕刊に載っていたことを紹介したいと思います。あうっ、残念ながら、記事の切り抜きを紛失してしまいました。要点だけ思い出して書きますね。

 「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために在宅勤務が進む一方で、保育園や学童保育の利用自粛を促す動きが広がっています。その結果、家で子どもをみながら仕事せざるを得ない人も多く、戸惑う声が多いようです。恵泉女学園大学長の大日向雅美先生は「完璧を捨てよ」と助言してくださっています。

 「完璧を捨てよ」という示唆がステキですね。「完璧なんて無理!」、「それはもう仕方ない!」この境地に到達すれば、どんな状況でも「キレる」ことは無いかもしれません。難しいですけど、保護者の皆さま、今は有事の時です。完璧は捨ててみませんか。

(2) 次は、朝日新聞夕刊2020/5/12の記事です。記事の切り抜きは、、、ありました!


 新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛が求められる中、子どもたちが室内でケガをする可能性が高まっていると、大阪府の救命救急医が呼び掛けているようです。

 早速、この方の「Save the Future」というWebサイトから、資料「室内安全チェックリスト」を入手しました。以下にも貼っておきます。


 保護者の皆さま、くれぐれもお気をつけいただけましたら幸いです。

(3) 最後に、朝日新聞2020/5/8夕刊からです。実は、夕刊って薄いのですが、「どうすればいいかなあ」といったことに対する答えのような記事が多いので、結構好きなのですよ。


 人の行動を変えるには、禁止でなく選択肢で「そっと後押し」、これもいいですね。「○○しろ! ××するな!」といった表現では、なんとなくムカッときて、反感を誘いますよね。

 ところが、「石鹸で手を洗え」ではなくて、「となりの人は石鹸で手を洗っていますか」と変化球でこられると、「隣の人に見られてるかも・・・洗っとこうかなぁ」って気持ちになるものですね。

 これって、保育士として子どもに気持ちを伝える時にも、同じような配慮があった方が、温かくて柔らかい保育に近づくってことかもしれませんよ。「○○しろ! ××するな!」というような、指示だけではないやり取りができたらいいなあ。