2021年12月28日火曜日

2021/12/28(火) クリスマスページェントを振り返って

 今週の土曜日から、早くも2022年になります。来年こそ、コロナが明けて日常を取り戻すことができるようにと願っています。

 さて、元郷園にとっての近々のトピックスは、何といっても12月24日(金)に演じたクリスマス・ページェント(イエスさま誕生の劇・聖劇)でしょう。私はクリスチャンなので、さくらそう保育園元郷に年長児が在籍する2021年のクリスマスには、ぜひともページェントをやりたいと願っていました。そこで私は、僭越ながら、脚本家兼作詞作曲家として、A4用紙5ページにわたる長大なセリフや聖句による台本と、12曲中9曲に及ぶ聖劇用のソングを作りました。それを基に、なおさんが総指揮官となって、2~5歳児クラスさん総出で演じたのでした。特に、中心となって活躍した年長児、おはな組さんの9名には、セリフ、聖句、歌のすべてを記憶し、それぞれの役割に応じて響き渡る声で演じることを、私は求めました。

 結果は・・・最高でした。皆さん、素晴らしかったです。ありがとう!

 おはな組のみなさんは、生まれて初めて次のような学びをしたと思います。

・台本を頭に入れる喜びと苦しみを学びました。
・独りで言ったり歌ったりするということは、想像以上に勇気がいることだと学びました。
・モジモジしたり笑ったりしながら演じることは、恥ずかしいことだと学びました。
・出番が無い時にこそ、背を伸ばしてキチンと座り続けることが、お友だちが演じているときの態度として必要で、とても気力を使うものだと学びました。
・みんなで心を一つにして演じることができたときは、気持ちがいいのだと学びました。
・間違えても、心を込めて演じることができたら良いということを学びました。
・一生懸命にやった後には、涙がでることを学びました。

 さくらそう保育園は、基本的に自由保育ですから、「大人の指示通りに動いてもらう」保育は好みません。ですから、全体的なお稽古は、3回しか行いませんでした。4回目となる本番が、この録画された動画の内容です。それ以外は個人練習で、昼食と午睡の間の時間にのみ行いました。昼食と午睡の間の時間ですから、自由な活動を阻害するということは、最小限ですんだと思います。

 何故3回しかやらなかったのか、それは、「やりすぎると嫌になり、やらなすぎると不安になる」、そのちょうどいい塩梅が3回だったと言うことです。でも、3回ではなんか不安なんですけど・・・。お子さんたちを信じることができれば、3回で充分だと思います。

 さくらそうは、これからもお子さんたちを信じていきたいと思います。

 それではよいお年を。

2021年12月1日水曜日

2021/12/01(水) 学力とは何か?

 NHK「おかあさんといっしょ」の番組開発で有名な、お茶の水大学名誉教授、内田伸子先生の論文、教育社会学研究第100集「学力格差は幼児期から始まるか?」~経済格差を超える要因の検討~のなかに、興味深い記載がありましたので紹介します。


 これは、2012年に東京、ソウル、上海の3~5歳児1000名、合わせて3000名に個別の臨床面接調査を行った結果をまとめた表です。壮大な研究ですね。内田先生によると、「子どもの語彙力について、幼稚園と保育園による違いは、調査の結果認められませんでした。しかし、自由保育か一斉保育かでは、明らかな違いがみられました。自由保育、子ども中心の保育、自由遊びの時間が長い保育所の子どもの語彙力が高かったのです。」という結論でした。

 内田先生は、どうしてこの論文を発表したのでしょうか?それは、2010年7月に当時の文部科学省幼稚園課が、「幼稚園卒の子どもは、保育所卒の子どもよりも成績が高い」と発表したことへのアンチテーゼのようです。私も当時、この文科省の結論は腑に落ちなかったことを思い出しました。

 さて、この表から、「読みと書き」については、幼稚園・保育園・自由保育・一斉保育の差はないということを読み取ることもできます。これは、個人的には驚きでした。あくまでも語彙の多さについてのみ、差があったということなのですね。これについて内田先生は、別の論文で「50の文字を覚えるよりも100のなんだろ?を育てたい」と進言しています。「50の文字を覚える」は読み書きすることを表し、「100のなんだろ?」は語彙を増やす具体的な活動を表していると思います。「なんだろ?」は語彙力に直結し、語彙力と学力は密接な相関関係があるということですね。

 さくらそう保育園の自由遊びや、それぞれのご家庭での団らんの中で、「なんだろ?」と感じる場面にたくさん遭遇し、その子なりの答えを見つけ、その答えを喜びの中で保育士と共有していくことで、学力がついていったらと思います。