2023年5月31日水曜日

2023/06/01(木) 座談会 #2 [保育で大切なこと]

(ぱぱ)
 「まだ、ことばのやり取りができない、0・1・2歳児のお子さんに対して、その子の思いをどうやって受容していくのか、寄り添っていくのか」について、考えていきたいと思います。
 今度は、すけさんに質問します。すけさんは、子どもの思いをくみ取りたいのに、なかなかできなくて困ったことはありませんか?

(すけ)
 やはり、言葉の聞き取りでしょうか。特に、1歳から2歳の話し始めの頃になると、一生懸命伝えようと話してくれているのに、何と言っているのか聞き取れない、そんなことがあります。

 例えば、1歳児クラスの男児に、「ぼく」と言われた時の事です。「自分(ぼく)に対して、何かして欲しいことがあるのかな?」と思い、「どうしたの?」と聞いたのですが、「ぼく!」と言うばかりだったのです。何度聞いても、「ぼく!」と言うだけで、そのうち、伝わらないことに「むーーー!」と怒ってしまいました。「『ぼく』の意味するところが、違うのかな?」とも思ったのですが、いくら考えても「ぼく」の意味は分かりません。
 そこで、ちょっと落ち着いてから、もう一度聞いてみようと、その子を抱っこしながら、部屋の中を歩き回ってみました。すると、その子が、また「ぼく!」と言って、何かを指さしたのです。その先を見ると、そこにあったのは、なんと「ブロック!!!」。そのブロックは、彼からは見えない位置に置いてあったので、抱っこするまでは、どこにあるのか分からなかったようです。ブロックと分かってから、あらためて聞いてみると、「ぼ」の発音も「ぶぉ」になっていましたし、「ぼ」と「く」の間には、小さな「っ」があったような気もしてきたのです。

 そんな言葉の聞き取りで、悩んでしまうことが、多々あります。特に、話が成り立つようになったばかりの頃だと、こちらが聞き取れないことに対してのイライラが、手に取るように分かるので、辛いところです。そこで、「この子と、こんなことを話した」など、スタッフ同士で共有や相談をして、少しでも多くの思いを受け止められるように努めています。

(ぱぱ)
 保育に携わる者として、大切な視点が語られていると感じました。それは、「『ぼく』の意味するところが、違うのかな?」と感じる心を持つことだと思います。そこには、愛がありますね。小さな一言を聞き流さないで、推察していく姿勢は、「寄り添っていく保育」そのものだと思います。「良い保育士は、良い探偵でもある」とも言えそうです。


 では、次は、うめさん、子どもの思いをくみ取るという視点で、自由に語っていただけたらと思います。

(次回につづく...)

2023年5月1日月曜日

2023/04/25(火) 座談会 #1 [インクルーシブな保育]

(ぱぱ)
「私たちがやりたい保育、目指している保育ってなあに?」ということをテーマに、語り合えたらと思います。言い出しっぺですから、ぱぱから語っていきますね。

 今、世界的に、インクルーシブな保育が望まれるようになってきているのが、いいなと思います。
 ぱぱの理解によると、インクルーシブな保育というのは、「少数派を大切にする保育」とでも言いましょうか。どのクラスにも、いると思うんですけど、いわゆるトラブルメーカー的なお子さんや、何となく仲間から外れていってしまうお子さんとかを大事にして、「急がず、ゆっくり、共に過ごす」ということですね。そして、それは、実は小数派だけではなく、なんと「多数派のためにもなる」という考え方なんです。
 でも、実際のところ、少数派に合わせようとすると、その援助は、なかなか難しいんですよ~。「私の言うこと聞いて!」の真逆で、基本的には、「あなたの言うこと聞きましょう」という援助になるので…。私なんぞ、日々、オロオロしてます。


 では、次にうめさん、ひとことお願いします。

(うめ)
 インクルーシブな保育を考えた時、そこでまず必要になるのは、すべての子どもたちを受け入れようとする「受容」の姿勢ではないでしょうか? 一人ひとり違う子どもたちに対して、肯定的に接することが、ぱぱさんの発言にあった、「あなたの言うことを聞く」という援助につながるんだと思います。
 さらに言えば、一人の子どもの中にある、さまざまな側面に対しても、受け入れていく姿勢が大切だと思います。滑り台は好きだけど、かけっこは苦手な子、歌は好きだけど、お絵描きには興味がない子等、好きなことや、きらいなことも、得意なことや、苦手なことも、誰にでもあるものだと思います。
 そのためには、まず、わたしたち保育者自身が、「○○をしなきゃダメだ」とか、「△△はしちゃいけないんだ」とかいう、固定概念から解放される、ということから、始める必要があるんでしょうね。保育者が、このように考えていると、どうしても、その枠に収まり切れない子どもたちの行動が出てきて、「言うことを聞かせる」という保育になってしまうでしょうから…。その上で、表情や行動等で、子どもたちが表現していることから、その子の思いを感じ取って、その思いにそった援助ができるように、していきたいと思います。

(ぱぱ)
「受容」していきたいですね。「言うことを聞かせる」ことは、最小限にとどめたいものです。


 今度は、すけさん、お願いします。

(すけ)
「インクルーシブな保育とは」と考えて、私の頭に浮かんだのは、「さくらそう保育園のうた」でした。歌詞の中に、「わらうことは いいね なくことも いいのだ」、「できることは いいね できないことも いいよ」とあり、それから、「すべてが ひつようさ」と続くのです。まさに、この通りなのだと思います。
 私が、最初にこの歌を聞いた時、心がほっとするような、そんな気持ちに、なったことを思い出しました。きっと、子ども達にとってのインクルーシブな保育は、ほっと出来る保育になるのでしょう。
 インクルーシブ、和訳すると、「包み込む」となるようです。園の歌の締めくくりには、「あなたに よりそう」とあります。包み込むように、寄り添った保育をしていけたらと思います。

(ぱぱ)
 インクルーシブ、和訳すると「包み込む」、ここの定義が抜けてましたね。ありがとうございます。子どもが経験することに、無駄なことはないと、私も思います。そこで、「まだ、ことばのやり取りができない、0・1・2歳児のお子さんに対して、その子の思いをどうやって受容していくのか、寄り添っていくのか」について、考えていけたらと思います。


(次回につづく)

[参考]