さくらそう保育園元郷は、開園3年目の保育園です。本年度から、念願の年長さんが在籍するようになりました。年長さんたちはとても活発で、園内外を動き回って楽しそうです。何と、ハッピールームの中であれば、お子さまは自前の縄跳びを使って園舎の中でも遊ぶことが許されています。もちろん、園庭(こども広場)にも戸外用の共用子ども縄跳びが倉庫の中に何本かあり、そこでも跳んでいます。
さて、2021年4月中旬現在、回数にして50回から60回くらいは、一人で「連続跳び」ができるようになってきました。他にも、3~4人が心と体を合わせて一緒に飛ぶ「大繩跳び」や、縄の一回転につき一人が引っかからないようにくぐり、それを複数人で連続して行う「大繩くぐり」など、いろいろな遊び方を楽しむことができるようになってきました。
ある時、こども広場で縄跳び遊びが楽しく展開していくなかで、縄跳びの数が足りなくなりました。年長のHちゃんは、「(こども広場の中で)もっとたくさんのみんなで(一人跳びを)やりたい」といいました。私は、「うう~む こども広場には、あんまり縄跳びがないんだよね」。考え込むHちゃんと周りの数名のお子さんたち、本当に困った感じでした。
そこで、私はこんな提案をもちかけてみました。「みんながハッピールームで遊んでいる縄跳びをこども広場にもってきたら遊べるんじゃない?」すると、保育士のなおさんは、「外で遊んだら縄跳びは汚れてしまうから、(園内の)ハッピールームでは遊べなくなっちゃうよ。」と言いました。もっともな話ですね。でも、みんなの気落ちを即座に察知したなおさんは、「外でも遊びたいねえ~、何か方法はないかなあ?」みんなは、しばしの間沈黙していました。
そこで私はもうひとつ、こんな提案をしてみました。「汚れてもいいお友だちは、子ども広場で使う。汚れたらいやなお友だちは、ハッピールームで使う、それから次が大事、『汚れてもいいお友だち』がハッピールームで使いたくなったら、『汚れたらいやなお友だち』に縄跳びを借りる。反対に『汚れたらいやなお友だち』が子ども広場で使いたくなったら、『汚れてもいいお友だち』に縄跳びを借りる。そうすれば、ハッピールームでも子ども広場でも使えるよ!・・・どう?」(読者の皆さま、ついてきてますでしょうか?)
結構難しい話をしてしまったという反省が私の頭をよぎりましたが、間髪入れずに明るい声で「さんせい」と言いながら手を上げるHちゃんと隣のYちゃんの姿があったのでした。その後、HちゃんはYちゃんに「ハッピールームでは(縄跳び)かしてね」、YちゃんはHちゃんに「いいよ」。そして、二人は互いに向かい合い、両手を握りしめて喜びを共有していました。趣旨をきちんと理解していることがはっきり分かり、私となおさんは顔を見合わせて喜びました。
言い方を変えると、大人はお子さんたちに対して、「二者択一」という選択肢をとるのか、それとも「共有・シェア」という選択肢をとるのか?と、迫っているわけです。「共有・シェア」を選ぶということは、一見すると損を選ぶように見えますが、実は最高のお得を選んでいるともいえるのですね。一言でいえば「損して得する」。その趣旨を理解して、自ら後者を選ぶ力に、大きな育ちを感じたのでした。もう少し深掘りしますね。「形而上(けいじじょう)」という言葉がありますが、これは、正義・愛・永遠・公平・平等、これらの理念や概念を意味しています。その中で、二者択一や共有・シェアといった概念は、「公平・平等」に相当するものですね。
年長さんは頭いいね。もう形而上のお話しができるなんて。
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