2020年10月1日木曜日

2020/10/01(木) くるくる棒


 新聞紙や広告を丸めてセロハンテープで止める、いわゆる剣作りですが、今年のお友だちは「くるくる棒」と名付けているようです。その年によって剣だったりくるくる棒だったり、言い方にも違いがでるなんて楽しいですね。このところ、ほぼ毎朝スタッフルームで展開しています。

 お友だち「ぱぱさん、くるくる棒つくって~」
 私「いいですよ~」

 順番を守れば必ず作ってもらえることにより、今は見えないけど数分後は作ってもらえることを想像して安心する力、信じる気持ちが育ちますね。また、欲しいお友だちが数人~10人以上集まると、順番を守らなかったら作ってもらえません。そこで順番という概念を学ぶことができます。さらに、その場で待っていなければ、言い換えれば、あっち行ったりこっち行ったりしていたら、作ってもらえないので、否が応でもじ~っと待つ習慣が身につくようになります。

 たくさん作り過ぎると、材料が枯渇して生産がストップしますね。「昨日作り過ぎて今日は材料がないので、作ることができません。」それもいいですね。そこから「枯渇を防ぐためには、どうしたらいいだろう?」という話し合いを経て、ひとり1本が原則というルールが生まれたりします。また、周囲に無造作に捨てられているくるくる棒の気持ちを、「わたし(くるくる棒)、捨てられて悲しいよ~」などと保育士がなりかわって代弁したりすると、それを聞いていたお友だちに大事に使おうとする心が育つことにつながります。

 「丸めた両端は重なりが少ないため、ふにゃふにゃしている」ということに気づくのは、物理の芽生えです。その部分を不要と考えたお友だちは、両端のカットを希望してきます。やがて、前もって「切ってください」などというようになり、見通しをもつことにつながっていきます。

 自分で作るお友だちも出てきます。太かったり、ラッパ状にできあがったりします。とても良い作品だと思います。両端が細くて真ん中が太い形を「おいも」などと言うお友だちもいて、イメージする力に感心しています。また、面白いところでは、ぐちゃぐちゃに使い古されたくるくる棒を持って一言「へび(^_-)-☆」と言って喜ぶお子さんがいました。新たな価値の発見ですね、素晴らしい!さらに、くるくる棒を十字架の形に組んでテープで止めて喜ぶお子さんがいます。きっと、その形が心の琴線に触れたのでしょうね。

 何度も繰り返し丸めることにより、その形がだんだん細く変化・進化・深化してくると、そのお子さんのやる気や自信につながっていきます。一方、大きなお友だちが小さなお友だちに「つくってあげるね」と言って作ってあげる場面を見ると、思いやりが育っていることを感じます。本園で最も大切にしている「やる気と思いやり」が、こんな小さな活動の中でもはっきりと現れているのですよ。

 今後は、3階の保育室では、セロハンテープの切り方を覚えるような取り組みや、はさみを自由に使える環境を作ることが課題かなと思います。また、「つくってください」、「ありがとう」の言葉がけがでたらいいなと思います。

 何はともあれ、朝、登園し、おうちの方とバイバイした後の少々の不安を、「せかすことなく」、スタッフルームで一息つくことで解消し、その後、各保育室に「ゆっくり」向かって行く、子どもにとって必要なルーティーンになっているようです。

 最後に、元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカさんの著書「世界でいちばん貧しい大統領からきみへ」(汐文社)から一節を載せます。「・・・だから、大切にしないといけないんだよ、人生という時間を。なかでも、子ども時代はもっとも幸福な時期だ。大人は子どもをせかさないでほしい。子どもは遊んで、遊んで、遊んで、幸せにならないといけない。知識、知識、知識、情報、情報、情報、と急いで与えないでほしい。子どもはゆっくり育つべきなんだ・・・」

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