2022年4月6日水曜日

2022/04/06(水) 科学者と保育 (ぱぱさん)

 地球の内部構造を解明する研究の第一線で活躍していたご夫婦が、なんと2020年に埼玉県横瀬町で保育士に転身し、保育施設をつくったという記事が、朝日新聞に載っていました。


 施設名は「森のようちえん・タテノイト」、お二人の名前は舘野繁彦さんと春香さん。ともに東京工業大学で博士号を取り、研究機関に所属し、画期的な発見をし、米科学誌「サイエンス」に論文が掲載されたこともあるそうです。

 そんな日々が変わるきっかけは、2014年に生まれた長女さんを保育園に預けたことでした。繁彦さんは、園での子どもたちを見て、皆同じ遊びをしているのが、心に引っかかったのでした。そんなある日、家族の会話で、お子さんから「先生が言ったから」という言葉が出てきて、「子どもたちは、先生の言う通りに過ごし、意見が言いにくいのかもしれない。」、「このままでは、上の人が言うことに疑問を持たない、社会に無関心な人になってしまいそうだ」と感じたのでした。お子さんが3歳になり、登園を嫌がり始めたことも重なり、繁彦さんは自分で保育園を開こうと決めました。「他人との比較ではなく、自分の情熱に忠実な子ども、自己肯定感を持った子どもを育てたい。」

 一方、春香さんも、「社会に関心がある人を育てることが大切」、「『好きな事を認めてくれる』と感じられた子どもは、自信を持って興味を深めていける」、「子どもが、自分で考えて発言できる、そんな子どもたちの姿勢を保育者が認めるようになればいい」と、とても大切なことをおっしゃっています。

 一見、科学分野で順調なキャリアを重ねていったエリートが、「保育」という全く異なる分野に参入した話のように見えますが、実は共通項があったのですね。それは、「社会に関心があり、自己肯定感を持ち、自分で考えて発言、実行する」、そういう科学者でありたいということと、そういう子ども(人間)を育てたいという部分で、一致したということです。どちらも尊いお仕事です。

 さくらそう保育園は、大人の言う通りに動くことを良しとする保育園ではなく、「皆で同じ遊びをしないのもいい」、「子どもが自ら考えて実行できる」、そんな保育園でありたいなあと思います。

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